揺り篭のような
甘い夢から目覚めて
ふと視線を傾ければ
愛して止まない彼方が居て
あぁ―――それは雪のようにささやかな幸せ

「…っ……もと…。」
意識の彼方から、声が聞こえる。
いつもいつもアタシを守ってくれる、背中を押してくれる、大好きな人の声。
「…つもと…松本っ…」
あぁもう少し。
この甘い夢に遊んでいたい。
漂っていたい。
なのに。
「……乱菊……」
めったに呼ばないその名前で彼方が呼ぶから。
嬉しくって、思わず起きちゃった。
「……どうしたんですか、隊長?」
「お前がいつまでたっても起きないからだろうが。」
そう言って文句を垂れながらも、情事の名残を拭う事もしない裸身の身体に、
そっと自分の着物を掛けてくれる。
「それに……この雪の降る時期にそんな格好で風邪でもひかれたら、
たまったもんじゃないからな。」
「あら隊長、もしかしてアタシの事心配してくれてるんですぅ〜?」
「…馬鹿言え。お前が風邪引いて休んだりなんかしたら、
唯でさえ溜まりに溜まってる提出期限切れの書類は、一体誰が処理するんだ?」
「…すみませ〜ん」
それでも、そんなさりげない優しさにまたアタシの心は柄にも無く頬を染めて。
「…雪の結晶って、よく見ると何だか花びらみたいですね…。」
「…あぁ。……そうだな…。」
悟られないようにと、呟いた。
「……松本、ちょっと…いいか。」
暫くして、ふと隊長が振り向いた。
いつもと変わらない、でも、いつもより少し緊張した様な顔で、瞳で、
アタシを見つめる。
「……隊長?」
無言のままの隊長に思わず尋ね返すと、おもむろに抱きしめられた。
「たっ、隊長っ…!!?//////」
「……お前に、ずっと……ずっと言いたかった事がある。」
「………。」
「互いの立場、今の俺達の状況、そして俺自身の弱さのせいで、ずっと言えなかった言葉。」
すると隊長は、一旦アタシから身体を離すと、懐から小さな小さな箱を取り出した。
淡い茜色の羊毛で出来た小箱。
その箱の意味が解っただけでもアタシはもう、子供の様に泣いてしまいそうだった。
丁寧に、丁寧に。
まるで壊れ物でも扱うかのような手つきで、彼方が左手の薬指を飾って。
そして―――――そして。
呟く。
「……この花びらが散る頃になったら、結婚しよう。」
終わり
この小説は友人の白咲りんさんからぶんどった頂いた物ですww
自分が載せた小説「誕生の日」と時期が色々とかみ合いませんが(笑)
これも1つのストーリですww
素晴らしい作品をありがとう!!