「好きだ」

想いを告げたのは俺の身長が彼女の胸位しかなかった頃。
顔を赤くして嬉しそうに笑い、「私も好きです」と言ってくれた彼女がとても愛しくて初めてキスをした。

それから、数十年。中々成長期が訪れず、もどかしい思いもした。
だが、訪れてしまえばあっという間で。だから、キミにもう一つの言葉を今贈ろう―――



「どうしたんですか?隊長。眉間の皺がいつもより3割増なんですが…」
「…松本」
「はい?」
「やはり、ちゃんと着替えてくるべきだったか?」

日番谷の姿はいつもと変わらない、死覇装に隊長羽織。乱菊もまた同じく死覇装。
無論それは、二人とも仕事帰りなためであったが。
一瞬きょとんとして乱菊だが直ぐに笑みに変わった。

「あ!もしかして、緊張してるんですか?」
「あ、当たり前だろ…しないヤツがいたら会いたいもんだ」
「大丈夫ですって。あまり畏まっちゃうと、あっちの方が発狂しちゃいますよ?」
「…そんなもんか?」
「そんなもんです。それに、私がいますから大丈夫ですよ!」

日番谷は握られた手を強く握り返した。


「あり?たいちょーと乱菊ちゃん?…どったの?」

壊れかけた呼び鈴を押すと、出てきたのはこの家の主、
は呆けた顔で二人の前に立つ。
今日は非番だったため彼は着流しを着ており、ゆったりとした雰囲気であった。

「こんばんわ、
「夜遅く悪いな。今、大丈夫か?ちょっと、話が…あってな」
「?うん、まぁ、チビ達いてちっと煩いけど…どうぞー」
「……。出来れば静かな場所で話がしたいのだが」
「んじゃ、俺の部屋行こうよ。お茶持って行くから先行っててー」

ぺこぺことは台所へと消えていく。
その姿を見送った二人は言われたとおりにの部屋へと足を進める。


「んで、なにー?話って?」

ぴょこんと、二人の前に座る
日番谷は一度目を瞑り、意を決したようにに向き直る。
いつになく真剣な日番谷には身を固くする。

「どうしても、に言いたいことがあってな……の前に、知っているかもしれないが、俺と松本は付き合っている」

自分で言って置きながら日番谷は耳まで赤くする。それにつられるように乱菊も顔を赤くした。

「へ?…隊長と乱菊ちゃん…付き合ってたの!!?」
「うん、そうだけど…知らなかったの?
「知らにゃい…」

ふるふるとは首を横に振る。その様子から本当に知らなかったようだ。

「まぁ、それはいいが…。俺はお前に礼を言いたい。お前が流魂街から、松本を助け出し、守ってくれたことを……だが、これからはその役を俺に譲って欲しい。」
「隊長…」
「だから、。松本を、否、乱菊を俺にください」

両手をつき頭を下げた。乱菊はその様子を伺い、の方を見た。

「……………」
「……………」
「……………」
「………………」
「…?」
?」
「……れが」
「え?」
「…誰がやるかボケェ!!言いか!?娘は父親にとって永遠のアイドルであり、恋人なんだ!!それを後から現れたどこぞの男にホイホイやるもんか!!それがいくら尊敬している上司であろうが部下であろうがびゃっくんのような大貴族でもそんなの関係ねぇっつの!!!だ・れ・が!嫁にやるか!!認めるか!!わかったかコノ野郎!!!」

一気に捲くし立てたは仁王立ちし、びしりっと日番谷を指差す。
予想していたような、していなかったような結果に日番谷と乱菊は焦った。

「待て、俺は」
「というのは全部冗談で、」

日番谷の言葉を遮ったはぺとりと座り、頭を下げた。

「こちらこそ、ふかつものの娘ですが、どうぞよろしくお願いします。」
「は?」
「へ?」
「?どーしたの?鳩が豆鉄砲食らったみたいな間抜け顔して…」
「…テメェには言われたくねぇよ!てかさっきのは何なんだよ!緊張で磨り減った俺の神経を返せ!!」
「だってさー、娘をもつ父親としては言ってみたいセリフじゃん?」

ぽへっと笑うに、日番谷は力が抜けたように崩れ落ちた。

「やだなー、俺が二人の反対すると思ったの?」
「反対はしないと思ったけれど、ああ言われたからちょっと焦ったわ」
「てへっ、俺、こういう挨拶される度に言ってるからさ。ごめーんね?でも、約束してよ、隊長」
「何をだ…」
「必ず、乱菊ちゃんを幸せにするって」
「当たり前だろ。勿論、そのつもりだ」
「出来なかったら、地の果てまで追いかけていって殴ってやるから!」
「やれるモンならやってみやがれ。もっとも、そんな事にはならねぇよ」

にやりと笑うに憎たらしいほど自信満々な笑みを浮かべた日番谷。
そして、その二人を見た乱菊は今ある幸せに一粒、雫が流れた。





















*オマケ*

「てか、隊長。何でこんな時間に挨拶に来たんすか?」
「ん?あー……それはな…」
「普通、仕事帰りにきませんよー」
、それはね、あの」
「早いに越したことはないと思ったからだ。」
「わーお、超実行型ですね、たいちょー」
「それに、腹括らないといけない事だしな」
「……………」
「?????どうしたの?乱菊ちゃん。顔赤くして…」
、その、怒らないでね?」
「?うん、怒ら、ないよ?」
「……さ」
「さ?」
「……………三ヶ月って言われたの
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「そっかー…俺もお祖父ちゃんかー」
「お前ならそう言うと思ったよ」
「え?やっぱココは『嫁入り前の娘にー!!!』って言うべき?」
「…そんな事、俺に言われてもな」
「たいちょー!名付けさせてねー」
「断る!!」