「どうしたんです?隊長?」
「あっ・・・いや・・・ケーキ食うか?」
「!! 食べます!」
「ちょっと待ってろ」と言って、隊長が居間から出て行く。
それを、あたしはただ見送る
しかし、酔ったあたしの頭にある記憶が横切った・・・
“ギン・・・”
部屋を出て行く隊長の背中と、ギンの背中が重なってしまい、
あたしは猛烈な孤独感に苛まれた。
「たいちょー!たいちょー!!」
あたしは思わず大きな声で叫んでしまった。
すると、走る足音が聞こえ、焦った顔をした隊長が、襖を激しく開けて現れた。
「どうした!松本!」
戻って来るのは当たり前で、分かっていた事なのに、
それがすごく嬉しくて、あたしは飛びつくように隊長を抱きしめた。
「どうした、松本・・・」
膝立ちで隊長に抱きついたから、隊長の優しい声が上から聞こえる。
「すみません・・・少し、昔のことを思い出してしまって・・・」
キュッと力の無い手で隊長の羽織を握ると、心配を掛けちゃいけないと思って、
あたしは「らしくないですよね」と笑って隊長から離れようとした。
しかし、隊長が強い力であたしを抱き寄せた。
「・・・しょーがねぇ・・・本当はもう少し後に渡そうと思ってたんだが・・・」
「え?」
あたしの情けない声と共に、隊長はあたしをゆっくり離し、
懐に手を入れた。
何かを貰えるとは分かっていたが、物までは想像もつかなかった。
そして、隊長が出した物を、あたしはそっと受け取った・・・