
乱菊とやちるが副隊長会議室に着くと、全副隊長は乱菊とやちる以外全て席に着いていた。
「あちゃ〜、遅くなってごめんなさい?」
「もういいですから、乱菊さんは早く席に着いて下さい」
クイっとメガネの縁を上げた、乱菊の良き友である伊勢七緒が、急かすように書類を渡す。
「何?これ」
「今回の議題についての参考資料です」
ん?と渡された参考資料とやらを見ると、その紙にはおそらくやちるが描いたであろう、
スイカの絵と関係ない水着やら海の絵が描かれていた。
「さて、会長。今回の副隊長会議の議題を」
「うん!」
仕切る七緒に、やちるが元気よく返事をすると、やちるは台に登り、声を大にして発表する。
「今回の議題は!“スイカに塩は有りか無しか”について
ーーーを変更して、“何故ひっつんから乱ちゃんと同じシャンプーの匂いがするか”についてです!!」
『!!!!!!』
副隊長達はやちるの発言にビックリしたと同時に、バッと全員の視線が乱菊へと移る。
その中に2人、微動だに出来ないまま固まった者もいた。
「………へ???」
まだ状況が掴めない乱菊は、顔を赤くさせながら汗をかく。
「ちょっと!やちる!何を急にっ…」
「さっき十番隊に行ったら、ひっつんと乱ちゃんから同じシャンプーの匂いがしたの!
ひっつんに聞いても教えてくれなくって、ずっと気になってたから、
この際みんなで考えてもらおうかなって♪」
「〜〜〜///あのバカ…」
乱菊の小声は運良く皆の耳には届いていなかった。
「ねぇ?どうして?」
『…………///』
やちるの素朴な疑問も、きっとこの場にいる副隊長達はきっと分かっているだろう。と、
それさえ予測出来るほど、他の者共の顔は赤くなっていた。
「…ごっ……ご想像にお任せします…///」
それだけ言うと、乱菊はその場から瞬歩で立ち去った。
居たたまれない雰囲気の者達を残して…
瞬歩を連続で使い、急いで乱菊が戻ったのは自分の隊、十番隊である。
そして、先ほどのやちるの様に、勢い良く隊舎の扉をスライドさせて開ける。
「隊長!!!」
「なんだ?もう終わったのか?副隊長会議」
「それどころじゃありません!…さっきやちるがあたし達から
同じシャンプーの匂いがするのは何故か?なんて事をみんなの前で言い出したんですよ!」
「それが?」
「それが?じゃありませんよ!やちるに聞かれたんでしょ?会議で発表する前に!
なんでその時に上手く誤魔化さなかったんですか!…あたしみんなの前で恥かきましたよ…///」
ハァハァと、一気に喋った乱菊は、酸素を求めるように口で荒く呼吸をする。
「…いいじゃねーか、同じシャンプーの匂いがする理由が分からねー程、他の者はガキじゃねー。
堂々と“松本は俺の女だ”って分からせれただろ」
「!?」
しれっと言った日番谷の言葉に、乱菊は体の力が抜け、ペタリとその場に座り込む。
そんな様子を楽しそうに見ていた日番谷は、乱菊に近づきしゃがむ。
「お前は俺の女だ。誰にも渡さない。」
「っ///」
日番谷の熱い眼差しに、乱菊は思わず目が離せなくなる。
心臓がうるさい。瞬歩のせいではなく、彼のせいで
「そんな目でそんな言葉…卑怯ですよ…///」
「うるせー。俺はいつもだ…///」
しばらく見つめ合うと、どちらからではなく、自然と吸い込まれるように2人は唇を寄せた。
きっと明日もずっとこれからも、2人から同じシャンプーの匂いがするだろう…