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あたしが隊長の胸の中で泣いていると、あたしの異変に気づいた隊長が、
そっとあたしの顔を覗き込んだ。



「……ごめんなさい…」
「どうして泣くんだ?まさか、俺が喜ばねーとでも思って不安がってたのか?」
「…いえ、冬獅郎さんは喜んでくれると分かってました…」
「なら何故泣く?」



隊長は姿勢を変え、あたしの肩を抱き、あたしを落ち着かせようと肩を優しくさすってくれた。
きっとあたしが話しやすいように…

そして、あたしはその心遣いに応えようと、小さく呟くように胸の内をあけた。



「あたし…四番隊の帰り道からずっと悩んでたんです。卯ノ花隊長に“おめでとうございます、
ご懐妊ですよ”って言われても、あなたみたいに素直喜べなかったの…」
「………」
「母親失格ですよね…赤ちゃんが出来ても喜べないなんて…」



そこまで言ってまたあたしの頬に涙が伝う。それを隊長が黙ったまま長い親指で拭う。



「あたし達は死神です。それも隊長と副隊長。
そんなあたし達はいつ…命を落としてもおかしくありません。
それに、あたしは誓ったから…死ぬ時はあなたと一緒だと。
だから…もしもの時、これから産まれてくる赤ちゃんに親がいないなんて可哀想で……」
「だから素直に喜べなかったと言うことか…」
「……はい…」


胸の内を全て吐き出すと、隊長はふぅとため息をついた。


「乱菊…それは母として、子の将来を想ってのことだ。
その時点でお前は立派な母親なんだよ。そして、副官と俺の妻としてもだ。
だから、お前は母親失格なんかじゃねーよ」
「冬獅郎さん…」
「確かに、死ぬ時は一緒だと互いに誓った。その誓いを破る気もねー。
だから、俺達親が居なくなっても、俺達の意志を受け継いで、
強くたくましく生きてゆける子に育てればいいんだ」


隊長の強い意志が瞳からひしひしと伝わる。とても強くて頼りになる人。
あたしの迷いも力強い手で引っ張ってくれる人。


「だからお前は安心して俺の子を産んでくれ」
「……はい!」



あたしは力強く返事をした。もう迷わない。悩まない。あなたと…この子がいるから。


不安も消え去り、あたしは素直に笑うと、隊長も微笑む。
すると、隊長があたしに向き合うように座り、あたしの手を取る。



「俺がお前を護る」
「あたしはあなたを護ります」

「そして、俺たちで産まれてくる子を護ろう…」

 

  再び、誓う  護るものを…
 
 
終わり